きみを死なせないための物語 5巻
(ネタバレ含む)
きみを死なせないための物語、5巻。天真爛漫だったジジが、今巻ではダフネーの運命に絶望してしまってるのがやるせなく、切ない。アジアさんいい人。リサさん実はいい人。アラタさんやっぱいいやつ。
新キャラのキュヴィエはわかりやすく悪役だけど、また良いキャラだし。この作品はキャラクター造形がほんとよく出来てるのよね、、
5巻はあまりストーリーは動かず、人間関係の機微中心…ですが気になる伏線もちらほら。
それらしく映画の舞台装置でも誂えたような、人工重力発生装置だったり。←やっぱハリボテ説?
郵便屋(メーラー)=先生(プロフェッサー)=預言者(プロフェット)=ソウイチロウ…?という匂わせがあったり。(彼の行動は何が目的なんでしょう?)
クライマックスはアラタさんが塔に登って真実を知り、ラスボスソウイチロウとご対決かなぁ。
ルイの描いた、ダフネーがマリアでイエスキリストが地球という構図の聖母子像に、ランボーの最初の聖体拝受(アンチキリストな詩)もめっちゃ意味深だよね。
相対性理論 presents 変数Ⅱ @恵比寿ガーデンホール
2019.4.30
相対性理論 presents 変数Ⅱ @恵比寿ガーデンホール
平成最後の日に相対性理論のライブとか出来すぎな夜。
ゲスト砂原良徳でBallet Mecanique 聴けたの最高だし、畳み掛けるようなラストの「わたしは人類」が圧巻だった。
今回もレーザーとVJの演出がめっちゃかっこいい&可愛かった。(特にNEO-FUTUREかわいくてパラレル近未来アイドル感あった。)YXMR Ghost “Objet”、dimtakt、ケルベロスちゃんはスタメン入りなのか。
アンコール元素紀行からの、やくしまるえつこさんの「グッバイ、平成」の声で平成締められるとは良い〆。ごちそうさまでした。
終演後ライブ盤発売の告知あり。
MCの「気になるなら、調べる?相対性理論」が伏線というか、わかりにくい告知だったという。(もちろん予約した)
終演後にダメ元で物販行ったら狙ってたTシャツがラス1で買えたのでラッキーガールでした
バード・ボックス
音だけの世界で、人を信じることができるか? 『BIRD BOX/バード・ボックス』
Netflixオリジナル映画。
(ネタバレあり感想)
終末ものが好きなので観てみた。
「音を出したら死ぬ」映画の「クワイエット・プレイス」を観た時も「この設定考えた人天才?」と思ったけど、「バード・ボックス」は「見たら死ぬ」というシンプルな設定が秀逸。(これは原作があるのね。)あとは「聴いたら死ぬ」映画の名作があれば、見ざる聞かざる言わざる御三家になるけど、聞かざるはシチュエーション・スリラー的には登場人物にかかる制限が弱いのと、映画的には地味になってしまうので微妙かしら。「バード・ボックス」の何が受けたかというと、登場人物がずっと目隠ししてる絵面がフォトジェニックっていうのもあると思うので。
見たらダメな「アレ」が何なのか、結局はっきりは明かされないまま終わる。最初のニュースでは謎の疫病か?という扱いなんだけど、途中で「心に闇を抱える者は見ても平気」というスピリチュアル設定が出てきて、うーん…「アレ」は悪魔的なもので、闇を抱える者たちは呼応しているので平気、という感じでしょうか。人類に対する神の審判というよりは、理不尽な圧倒的超自然的暴力的存在の系譜、まさに悪魔的なものに見える。森の中で心の声的な感じで誘いをかけてくるシーン、なんかシューベルトの「魔王」っぽいし。でも自殺行為に及ぶ条件は、心がどうとかなく完全物理、物理的に見るか否か、なのは設定が活きていてよいですね。
サンクチュアリは盲学校でした、という結末は、意外と私は思い浮かばなかったので良かった。っていうか思えば目隠しして外出するとき、みんな杖持ってけばいいのにそうはしてなかったね(結末の意外性がなくなっちゃうから?)
ただラスト、自分がどんでん返し系映画の見過ぎなのか、もう一段何か悪いオチや罠があるんじゃないかとめっちゃ構えてしまった…けど特になく、美しいユートピアに辿り着いて終わった。少し似たところのある映画「ミスト」のオチみたいなのを想像してしまった。
でも面白かった。Netflixがんばってるなー。
ハイパーミディ 中島ハルコ
- 作者: 東村アキコ,林真理子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2018/12/25
- メディア: コミック
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原作は林真理子「最高のオバハン 中島ハルコの恋愛相談室」(これは確かにタイトル変えるわ)原作は未読。
東村アキコさんはきせかえユカちゃんからのファンですが、タラレバ娘が当たったからなのか?悩めるアラサー女性の教祖的路線になってしまった感ありますが、すごく職人的に漫画描いてらっしゃる。求められている芸風を器用にずっとアウトプットできるのホント職人。「偽装不倫」も読んだけど、どっちも「うわー!めっちゃドラマ化されそう!!!」って感じです。漫画というより連ドラ見てるみたいな感じというか。
(ハルコさん役が当たりならドラマで見てみたい。)
たまに説教臭いけど面白かったです。
アラサー女が説教されるのはタラレバでもう十分なので、不倫男(&愛人)をスカッとJAPANする深夜のダメ恋図鑑路線メインが需要ありそう。あとは今後、ハルコさんの指導で主人公がビジネスで成功していく感じになるのかなー。
ハルコさんの発言がところどころ、「こういうこと言ってる起業家の人いるいる…」という、ビジネス誌の記事みたい。
テセウスの船 6巻
(ネタバレあり 感想)
6巻です。表紙が怖い!
さつき先生は美人で優しい先生って感じだったのに、こっちの世界線ではめっちゃ嫌な感じの怖いおばさんになっててショック…。
木村みきお(加藤みきお)は逆に、怪しい感じに見せておいてるけど、本当は前から村田藍=鈴だということに気づいていて、それでも藍を愛している(藍が何も打ち明けてくれないことが悲しい)、悪人ではない描き方に見えるので、犯人ではない気がします。
で、藍は加害者親族としての罪悪感からみきおと一緒にいる感があり、本当にみきおを愛しているのか答えられない。そもそもいくら隠しても、子どもができたら籍入れないと不便だし、内縁のまま子どもの出生届出すにしてもやっぱり母親の戸籍上の名前は絶対バレるし、義母の盗み聞きがなくても、遅かれ早かれバレてたよね…。姉ちゃんしっかり。
6巻で佐々木紀子の話が明らかになると思ったら全然そこまで進まなくて肩透かし気味。次巻予告が、義母が鈴姉ちゃんを脅迫して、佐々木紀子のお茶に「お砂糖」(木村鍍金工場に残ってた青酸カリ?)を入れさせる的な流れっぽいんだが、ここでまた証人が消えて降り出しに戻るのはやめてほしい〜。
罪深き緑の夏
お正月休み読書2冊め。
(ネタバレあり感想)
蔦屋敷の美少女、異母兄弟の画家、むせかえるような緑の夏…。
いくつかの事件が起こるものの、謎解き要素は薄く、雰囲気に酔いたい耽美主義的なゴシックミステリです。服部まゆみ作品は「この闇と光」のみ既読。
容姿端麗かつ画家として脚光を浴びている兄(太郎)の方が、無名の画家の醜い弟に対し、自分の得ていない家族の愛情を愛人の子が攫っていったからか、画家としての才能への嫉妬も相俟って、嫉妬で発狂していたというオチ(洋ちゃんは罪のない他所の家庭の子どもなのに、完全に巻き添え感あって可哀想)。
親族関係の入り乱れた作品なので、しばし考えてしまったけど、エピローグで由里香が「叔父」と言っているのは、「醜い」「パリからの絵葉書」という記載からして淳のことだろう。血縁から言うと「大叔父」(祖父の異母弟)が正しいところ、「叔父」と書いているのはやっぱり百合と淳が結婚したという意味なのか?(叔母の夫も叔父と呼ぶので)
ボクたちはみんな大人になれなかった
お正月休み読書1冊め。
サブカルチャーを散りばめたセンチメンタルでエモい感じの過去の恋愛小説で、好みっぽいと思って買ったのですが、世代が違うからなのか?あんまり刺さらなかった。
たぶん実際の彼女は、ちょっと短期でインドに行って視野が広がってみたら主人公を「つまんない男だな」と思ってしまって、違うタイプの小沢さんがキラキラして見えて、クロスフェードして去って行ったっていうよくある話なんだろうと推察されるも、記憶の中の彼女はいつも「大丈夫だよ、キミは面白いもん」と肯定してくれて、男の方は永遠にその甘い思い出の中で生きているという、呪いのような話だった。
あと好きな女性のことをブスという男は振られて当然なので、彼女はたぶん、自分をブス扱いしない男と結婚したに違いない。
ラストの結末で、彼女がFacebookでたくさん「ひどいね」してくれたところが、ほどよい希望の持たせ方で、よかったです。