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夜になっても遊びつづけろ

罪深き緑の夏

 

罪深き緑の夏 (河出文庫)

罪深き緑の夏 (河出文庫)

 

 お正月休み読書2冊め。

 

(ネタバレあり感想)

蔦屋敷の美少女、異母兄弟の画家、むせかえるような緑の夏…。

いくつかの事件が起こるものの、謎解き要素は薄く、雰囲気に酔いたい耽美主義的なゴシックミステリです。服部まゆみ作品は「この闇と光」のみ既読。

 

容姿端麗かつ画家として脚光を浴びている兄(太郎)の方が、無名の画家の醜い弟に対し、自分の得ていない家族の愛情を愛人の子が攫っていったからか、画家としての才能への嫉妬も相俟って、嫉妬で発狂していたというオチ(洋ちゃんは罪のない他所の家庭の子どもなのに、完全に巻き添え感あって可哀想)。

 

親族関係の入り乱れた作品なので、しばし考えてしまったけど、エピローグで由里香が「叔父」と言っているのは、「醜い」「パリからの絵葉書」という記載からして淳のことだろう。血縁から言うと「大叔父」(祖父の異母弟)が正しいところ、「叔父」と書いているのはやっぱり百合と淳が結婚したという意味なのか?(叔母の夫も叔父と呼ぶので)