suisei in my head

夜になっても遊びつづけろ

エヴォリューション


『エヴォリューション』予告編

 

「エコール」のルシール・アザリロヴィック監督作品。

(ネタバレあり感想)

 

映像が終始薄暗く、不穏な予感が漂っており、まがまがしくて、とっても美しい。ストーリーをおいても、映像だけで観る価値があります。

少年と女性しかいない海辺の町で、お母さんたちは何か秘密を隠していて、奇妙な医療行為を…という話の筋もまたまたグッとくるものがあります。

ざっくりネタバレ要約すると、少年たちのお母さんは本当の母親ではなく、背中に吸盤のようなものがある生き物で人間ではなく、少年たちはどうやら外部から島に連れて来られて、妊娠出産させて種を残すために、女たちに利用されている。帝王切開で赤ちゃんを取り出すシーンがグロい。

主人公のニコラは、元々は都会にいたのを連れて来られたみたいで、自転車、サッカーボール、クリスマスツリー、自動車、きりん、それから観覧車、本物の母親と思しき絵を描いている。ラストは、看護師のステラの助けで、小舟で文明社会に帰還したところで幕。

この話、私が最初に連想したのは、宇宙人にUFOで誘拐されて、謎の手術とか実験されて戻される(あるいは逃げ出した)っていう、アブダクションものと話の枠組みが同じだなって。

舞台になっている島は、我々の社会より文明的には遅れているようにも描かれているんだけど、女たちは水中でも呼吸できたり、ある意味では人間より高度な生命体なんだよね。ヒトデの擬人化って感じもあったけど…。ここでは「大人」の「女性」が妊娠するのでなく、「子供」の「男性」が妊娠するという、現実社会との反転が起きているんだけど、これも一つの進化(エヴォリューション)なのかなぁという。生命の歴史は海中からで、人間は次のフェーズの進化では両生類や水生生物寄りになっていって海へ戻っていく的な。

あと海水の成分は羊水と似ているって話を思い出させるシーンが随所にあります。