帰ってから、お腹がすいてもいいようにと思ったのだ。
最近,すごくかなしいことがあり,休日は家から出る気も何もする気も起きず,ただベッドの上でぼーっとしていると,いつのまにか夜になっていたりして,そうすると,ああ,今日も何もしないまま,一日が終わってしまうと思って余計にむなしい気分になる。
せめて,本でも読もうと思ったけれど,なんだか何を読んでもうっとおしいような,うまく入り込めないような感じがする。
そんな中で,この本は,すごく,よかった。
帰ってから、お腹がすいてもいいようにと思ったのだ。 (文春文庫)
- 作者: 高山なおみ
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2009/04/10
- メディア: 文庫
- 購入: 11人 クリック: 60回
- この商品を含むブログ (64件) を見る
料理家の高山なおみさんのエッセイ集だけれど,エッセイというよりは,上質な短編集みたいな趣である。
ぼんやりと,ぱらぱらページをめくる。順番通りに前から読んだり,適当に目についたタイトルから読んだりする。
押しつけがましいところがなく,かなしいことも,空想のひらめきも,しっかり淡々と日常に根づいている雰囲気がよい。無気力な,ぼうっとした頭にも,なんだか無理なくすうっと入ってくる感じがする。
後ろの方に,一篇毎のレシピがついていて,せっかくなので「落ちこんだ日のスープ」とか,作ってみたいと思ったけど,①の「とりガラ1羽」がまず,ない。