suisei in my head

夜になっても遊びつづけろ

命売ります

 

命売ります (ちくま文庫)

命売ります (ちくま文庫)

 

一種のデカダン小説でもあり,ユーモア小説でもあり,ハードボイルドもロマンスもありの,たいへん良くできた娯楽小説です。

ポップで軽妙でテンポが良く,すいすい読めちゃう。

ラストは,巡査と見せかけて実はACSの男で再びピンチと思いきやA国の第一・第二の男が助けに来てくれる…というとこまで妄想したけど,普通に警察でキチガイ扱いされて終わった(笑)

命売りますと言っておいてなんだかんだ次から次へと生き残っていってしまう,報酬のお金もどんどん増えていく,途中まではなんとなく変則的わらしべ長者みたいなノリすらあるんだけど,元々は自殺に失敗して命を売ろうとした主人公が,終盤,死に追われていると感じた時だけ痛切な死の恐怖を感じる皮肉,そして殺されそうなんですと警察に駆け込むと取り合ってもらえず途方に暮れて星を見上げ,幕。余韻のあるラストで悪くないです。”Life goes on...”って字幕入れたい。

 

たまたま書店で衝動買いしたんだけど,最近売れてるようで,7月に7万部(!)重版って記事が。何だろう,帯が良いのかな?表紙も新装版でもっと今っぽい感じにしたら更に売れそう。